労働安全衛生マネジメントシステム OHSMS
世界各国の有志の団体によって形成された国際コンソーシアムでOHSASプロジェクトグループと呼ばれる組織が、1999年に発行した規格の初回改訂版です。ISO9001/14001と同様、第三者認証基準として使用されています。目的は組織の活動に関連する労働安全衛生リスクを除去又は最小限に抑えるためMSを確立、維持、改善することにあります。また、既存の品質/環境マネジメントシステム複合や統合ができるものとなっています。
職場に潜むリスクを摘出し対策することにより、傷害・疾病を予防することができます。企業の大切な”資産”である従業員を保護することは経営の必須要件です。労災保険料や対応コストの低減などの副次的効果もあります。
組織内での役割、責任、権限が明確化され、経営方針の徹底とPDCAによるマネジメントシステムの運用で、「継続的改善」を行う企業風土が形成されます。従業員の安全意識の向上は安全のみならず「決められたことは守る」企業文化の醸成につながります。
労働安全衛生に配慮されているので従業員も安心して働くことができ、生産性が上がります。工場や建設現場で使用される「安全第一」は、米国USスチール社が生産や品質よりも安全を優先することにより、安全はもちろん、生産や品質の向上にも寄与したことから全世界に普及した言葉です。
トップの法令順守のコミットメント、適用法令の特定、定期的な順守評価などによりコンプライアンスが強化されます。法令違反リスクを低減することができ、結果さまざまな法規制へ遵守していることを取引先、提携先といったステークホルダー(利害関係者)に明示し、認証を受ける組織に対する信頼を得ることができます。また職場での事故に伴うイメージダウンも回避できます。
定期的に実施される審査プロセスにより、労働安全衛生上のパフォーマンスを継続的に監視し改善することができます。また現在のリスクだけでなく、将来の安全衛生リスクもマネジメントし、改善することができます。 品質・環境・情報などと同様に、労働安全衛生も経営上の重要な分野であり、このマネジメントシステムを構築し運用することは組織の利益及び利害関係者の信頼を得るためにも有効です。